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グラフィックファシリテーション

今回参加したのは、CIDP患者さん、神経内科医、CSLベーリング社員が参加したワークショップ(WS)。ファシリテーターの山田夏子さん(一般社団法人グラフィックファシリテーション協会代表理事)が参加者の発言をその場で絵にして、参加者に共有しながら相互理解を深めていくというユニークな手法で行われました。
WSの前半は主に患者会活動について3名の方からお話があり、後半はQ&Aセッションでより理解を深めるという構成です。
CIDP患者さんとご家族にとって患者会がどれだけ大切な存在か、医療の一翼を担う企業の社員が何を理解しどう行動すべきか、改めて感じる場になった記憶に残るWS。その様子を当日描かれた絵とともにリポートします。

患者会「全国CIDPサポートグループ」の発足に携わったCIDP患者さん
CIDP患者さん01

Fさん
2004年CIDP発症

CIDP患者さん02

Yさん
2004年CIDP発症

患者会発足当初からサポートしている神経内科医
神経内科医

まーくん(小鷹 昌明 先生)南相馬市立総合病院

全国CIDPサポートグループ

患者会発足に至るまで

患者会の成り立ちや活動を主に話してくれたのはFさん。ご自身がCIDPを発症した2004年から患者会の設立準備を始めたとのこと。

発起人が力尽きて離脱。
Fさんがブログでつなぐ

当時、設立準備室HPを運営していた発起人Bさんがチャットルームを開設し、その中でどんな患者会にするか構想を練っていたそうです。常に参加していたメンバーは4~5人。

「でも、ある日Bさんが力尽きて『活動をやめます、掲示板も閉めます』と言い出して。ここでバラバラになってしまったらもう患者会ができなくなってしまうと思ったので、私がブログを開設して、掲示板を閉める前にそこへ誘導したんです」と語るFさん。

難病で重症な方が患者会を立ち上げる大変さがヒシヒシと伝わってきました。

「楽しいことは体にいい!」が合言葉に

仲間が増えるきっかけになったFさんのブログ。
そこでの会話は明るく前向き。

“この病気は自己免疫疾患だから、ストレスがいちばんよくない”
“でもこの病気であることがいちばんのストレスなんだけど”
“じゃあ逆に、楽しいことは体にいいんだね!”

「こんな会話から、いつの間にか『楽しいことは体にいい! 』が合言葉になって、これが長い間メンバーの支えになったんです」とFさん。

Fさんは当時住んでいたバンコクに戻りますが、
東京では初めてオフ会を開くなど、設立準備が着々と進んでいったそうです。

患者会活動の始まり

ついに患者会発足。
明るいメンバーが集まる

2006年4月には全国各地から患者さんやご家族が東京に集合し、ついに「全国CIDPサポートグループ」発足。

「中には重症な方もいましたが、みんなとても明るく笑顔の素敵な創立メンバーでした」と語るFさん。

患者会活動はメーリングリストや公開掲示板からスタート。2006年8月には初のインターネット総会を開催して役員体制が固まり、6支部に分けての活動が始まりました。

その後はメールニュースの配信を始め、2007年1月には会報1号の発刊に至ったそうです。

本邦初となる
CIDP単独での医療講演会を実施

患者会発足当時の目標は2つ。
①本邦初のCIDP単独の医療講演会の実施
②特定疾患にいれてもらう

①は2007年2月に実現。北里大学の齋藤豊和先生(会員さんの元主治医)に講演を依頼し、横浜で開催したとのこと。

「みんなが待ちに待った講演会でしたので、募集してすぐに定員の85名に達してしまい、15組もお断りしました。」
そんなFさんのお話から、患者さんとご家族が当時どれだけCIDPに特化した情報を求めていたかが想像できました。

特定疾患(指定難病)になるまで

厚生労働省との交渉は10数回

目標②の実現に向けた活動は2007年後半から本格化。患者実態調査を実施して、その結果を論文投稿1)し、その著者の一人である青木聡先生(大正大学)の見解も添えて厚生労働大臣宛に要望書を提出したといいます。

「この調査では、質問にない行間にいろいろとお書きになっている方が多くて、本当に皆さんの困っていること、苦しんでいることが伝わってきて、集計していた私たちは自分がまいってしまいそうになるぐらい胸に迫ってくるものがありました」とFさん。

1)小鷹 昌明 ほか:神経内科 2008;69(3):266-273

患者会2年目で特定疾患に

2009年9月、特定疾患懇談会でCIDPを含む11疾患の追加が了承されました。

当時は政権交代の影響で予算がなかなか執行されないという問題があったものの、要望書をJPA※1から提出してもらい、同年10月1日にさかのぼって適用されることになったそうです。

「当時は5万人問題※2で議論していた時期でもあり、それと合わせて新規疾患もJPAで取り上げていただきました。患者会設立2年目で特定疾患になったというのは、すごく恵まれていたと思っています」とYさん。

※1 一般社団法人 日本難病・疾病団体協議会

※2 特定疾患の選定基準に稀少性(おおよそ患者数5万人未満)が適応され、患者数5万人以上の疾患が除外されることに関する問題

患者会活動の課題/支え/Q&A

患者会運営の大変さを目の当たりに

患者会の運営でいちばん大変だったのは、2014年3月に開催した医療講演会だったそうです。

当時の様子を語るFさん。「運営メンバーみんな調子が悪くて、再発していた私は病院で出欠の受付をやっていました。講演会当日は、杖をつき傘をさして『道で倒れたらどうしよう』と不安のなか東京へ向かいました。」

さらにFさんは「もう少し大勢の方が患者会の運営を手伝ってくださったらいいなと思っております」と話し、CIDPという病気を抱えながら少人数で運営していくことの大変さが伝わってきました。

「CIDP患者さんのために何かできないか?」
小鷹先生がサポート

FさんとYさんのお話のあと、患者会発足当初から活動を支えた小鷹先生が話してくれました。

「以前はギラン・バレー症候群を中心に研究していましたが、CIDP患者さんから相談されたり、患者会の実態調査結果を見たりして、『自分に何かできないか。調査結果を形に残すべきだ』と思ったんです。」

小鷹先生は実態調査結果の論文投稿に協力し、特定疾患にいれてもらうための交渉にも同行するようになったそうです。先生の熱意とあたたかさを感じるお話でした。

また、CIDPという病気の解明は難しいことも説明してくれました。

WSの後半はQ&Aセッション。CSLベーリング社員から数々の質問が出ましたが、とくに印象に残ったのはこちら。

Q 患者会活動のパワーの源は?

発足初期は、「仲間」「情報」「特定疾患にいれてもらうこと」がパワーの源でした。

特定疾患に認定されてからは、より病気を客観的に見つめ、他団体と連携した活動にも取り組んでいます。
患者さんの中には症状が重たい方も多く、みんなのために力になりたいという気持ちで活動を続けています。

いま、患者会が願うこと

「全国CIDPサポートグループ」で
正しい情報を

たくさんの情報であふれている今、
「正しい情報を得ること」がとても大切です。
SNSの誤情報で満足しないでいただきたいのです。

CIDP患者さんとそのご家族、なかでも若い方は特に
この病気と長くつき合っていくことになります。

だからこそ、誤解したまま長年過ごすことのないように、
患者会「全国CIDPサポートグループ」を通じて
この病気のことを正しく理解していただきたいと思います。

同じ病気を抱える私たちとともに、
CIDP治療の進化に希望をもって歩んでいきましょう。

全国CIDPサポートグループを代表して
Fさん、Yさんより

JPN-HCI-0384