治療について
血友病の治療の基本は、不足または欠乏している血液凝固因子を注射で補う「補充療法」であり、「出血時の補充療法」「予備的補充療法」「定期補充療法」の3つの方法があります。
令和2年の全国調査では、定期補充療法を実施している患者が83%(330人)、出血時補充療法が12%(48人)、予備的補充療法が4%(17人)でした。


竹谷 英之編:「血友病患者のQOLに関する研究」令和2年度調査報告書
1)出血時補充療法
出血した後、完全に血が止まるまで血液凝固因子を補充する治療と出血部位のケアを行います。
血液凝固因子製剤の注射は、出血後できるだけ早く(可能であれば2時間以内)に行います。血を止めるのに必要な血液凝固因子製剤の投与量は、出血部位や出血量と、患者さんの血液凝固因子活性レベル(因子の働きの強さ)から決めます。
2)予備的補充療法
運動会や遠足、旅行など、出血の可能性が高い行事の前(当日の朝など)に血液凝固因子製剤を注射し、出血を未然に防ぐ方法です。
また、外科手術や歯科治療など出血が予想される手術・処置の前に注射します。
3)定期補充療法
月に数回、定期的に血液凝固因子を注射する方法です。出血を予防するために、血液凝固因子活性レベルを一定以上に保つように、血液凝固因子製剤の投与間隔や投与量を調節します。
定期補充療法は、関節内出血を含む出血回数を減らすことや、関節症の予防に役立ちます。また、出血回数が減るとスポーツや日常生活の制限も少なくなり、より活動的な学校生活や社会生活が送れるようになります。
