MENU

血友病の治療についてインヒビター

インヒビターとはなんでしょうか?
投与した血液凝固因子を異物とみなし、そのはたらきを邪魔する抗体です。

患者さんによっては補充療法を続けているうちに、効き目が弱くなってくる場合があります。その際は、血液凝固因子製剤の投与量と投与間隔が適切かどうかをチェックし、それでも効果が弱い場合は「インヒビター」を疑います。

インヒビター

投与された血液凝固因子を異物とみなし、排除しようとする抗体を「インヒビター」といいます。
「インヒビター」が発生すると、投与した血液凝固因子のはたらきを抑えてしまうため、効き目が弱くなる、またはまったく効かなくなることがあります。

インヒビター

インヒビターはすべての人に発生するわけではありません。これまでの研究によると、インヒビターをもっている割合は、血友病Aで4.8~6.5%、血友病Bで3.5~5.2%と報告されています。また、いちどインヒビターができても適切な治療によって消えていくこともあります。

インヒビターをもっている割合

参考)インヒビター保有先天性血友病患者に対する止血治療ガイドライン:2013 年改訂版(日本血栓止血学会)

身体の中にあるインヒビターの量は「BU(ベセスダ ユニット)」という単位で示され、BUの値が高いほど量が多く、効き目が弱くなることを示しています。

インヒビターをもつ患者さんへの治療法

インヒビターをもっている患者さんでは、血液凝固第Ⅷ(Ⅸ)因子製剤の効き目が悪くなるため、治療方法を変更する必要があります

中和療法

血液凝固第Ⅷ(Ⅸ)因子製剤を大量に投与することでインヒビターを中和し、残りの血液凝固因子で止血する治療です。

中和療法

バイパス止血療法

患者さんによっては、血液凝固第Ⅷ(Ⅸ)因子製剤を大量に投与した分インヒビターが増えてしまう場合があります。その際は、血液凝固第Ⅷ(Ⅸ)因子とは異なるルートで血を止める「バイパス止血療法」を行います。

バイパス止血療法

バイパス止血療法では、活性型プロトロンビン複合体製剤(aPCC)、遺伝子組換え活性型血液凝固第Ⅶ(なな)因子製剤(rFⅦa)、乾燥濃縮人血液凝固第X因子加活性化第VII因子(MC710)が用いられ、これらを総称して「バイパス製剤」とよんでいます。