監修
静岡県立こども病院 血液凝固科 小倉 妙美 先生「目に見えない出血」に、いかに早く気づくかが大切です。
出血したときは、早めに発見して対処することが大事なのですが、実は外から見えない出血というのがあります。たとえば、関節や筋肉に負担がかかったとき、転んだり何かにぶつかったとき、頭の中、皮下、筋肉、関節などといった外から見えない部位で出血が起きることがあり、特に筋肉、関節内出血は血友病の特徴的な出血症状です。
言葉でうまく伝えることができない乳児期の「目に見えない出血」に気づくために、不機嫌だったり、元気がなかったり、抱っこされるのを嫌がったり、動かし方に左右差がないかといった、小さな変化に注意してあげてください。
乳幼児期にみられる主な出血部位
目に見えない出血を早期発見するための観察ポイント
頭蓋内出血・頭部打撲
乳児には比較的起こりやすく、発見や対応の遅れにより深刻な状況に陥る危険性が高い出血
- 発熱、嘔吐、不機嫌、元気がない、ぼーっとしている、顔色が悪い、痙攣、など
- はっきりとした症状が出ないときもあるので、頭をぶつけたときや高いところから転落した際は、受診して様子をみる
<前額部位の打撲と眼窩周囲の皮下出血>
前額打撲部位の皮下出血は、重力によって少しずつ降下し、目の下あたりまで真っ青になることがあります。これは自然経過のひとつで、新たな出血ではありません。この場合、製剤を追加投与する必要もありません。
関節内・筋肉内出血
- 動作が不自然、利き手を使わない(かばう)、手足を触られたり動かすことを嫌がる、左右で手足の動かし方が違う、など
- 注意深く触ってみて、腫れや熱感を確認する
- 腫れているかどうかわからないときは左右の同じ部位で比較してみる