監修
聖マリアンナ医科大学 小児科学 講師 長江千愛先生適切な補充療法で、制限のない日常生活を送れる未来を目指します。
現在の血友病治療は「出血時に血を止める」だけでなく、出血を予防し、関節内出血によって生じる関節症などの合併症の発生や悪化を防ぐことを目指すものに変わってきました。 関節内出血の経験が少なければ少ないほど、関節症のリスクは少なくなります。治療法が大きく進歩した今、血友病のお子さんとそのご家族の生活の質を維持することも不可能ではなくなりました。
より良い生活を送るために
適切な補充療法(特に定期補充療法)
制限のない
日常生活
「出血するかも・・」
という不安の解消
重大な出血時に
命を守る
遠足も運動会も、病気のためにあきらめることはありません。そのためには、補充療法(特に定期補充療法)をしっかり実践すること!
集団生活がスタートするこの時期は、家族以外のお友だちや先生と行動をともにすることで社会性が養われる大切な時期です。 一般に、血友病性関節症の進行やインヒビター※がなく、家庭や医療施設で補充療法(特に定期補充療法)ができる場合には、血友病ではない子どもと、ほとんど同じ生活を送ることができます。
外遊びを避けて家でおとなしく過ごす必要はありません。修学旅行やキャンプに参加することも、スポーツに挑戦することもできます。 ただ、他の子と変わらない生活を送るためには、定期的に製剤を注射する「定期補充療法」をしっかりと実践する必要があります。
※身体の中で作られる、注射した凝固因子の働きを阻止する抗体のこと。インヒビターがあると欠乏している凝固因子の注射をしても十分な止血ができない。
血友病の治療(補充療法)
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定期補充療法
定期的に注射して出血を予防する方法
いつでも血液凝固因子の量を一定レベル以上に保っておいて、出血を予防し、血友病性関節症になるのを防ぎます。出血回数が減ると心理的な不安も減り、より活動的な学校生活や社会生活が送れるようになります。
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予備的補充療法
たくさん身体を動かす日にあらかじめ注射を打っておく方法
注射した日は凝固因子が身体の中にたくさんあるので、出血しにくくなります。また、外科手術や歯科治療など出血が予想される手術・処置の前にも注射します。
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出血時補充療法
出血したときに注射する方法
出血を止めるために凝固因子製剤を注射します。定期補充療法を行っている場合でも、けがをしたときには追加で注射をします。