あなたは、CSLベーリングの医薬品を使用されている、あるいは使用される予定の患者さん、またはそのご家族の方ですか?

エイフスチラをご使用になる患者さんへ

エイフスチラについて

単鎖血液凝固第VIIIはち因子製剤とはどのような特徴のお薬ですか?

エイフスチラは、血友病Aの治療に使われる遺伝子組換え血液凝固第VIIIはち因子製剤(静脈注射用製剤)です。

血液凝固第VIIIはち因子を、血液の中に長くとどめ、より長く効果を発揮できるように改良したお薬で、単鎖血液凝固第VIIIはち因子製剤と呼ばれています。

血液の中にある
通常の血液凝固第VIIIはち因子

図:血液の中にある通常の血液凝固第Ⅷ因子(二本鎖)
二本鎖手を繋いでいる状態から
(イオン結合)
安定した

(単鎖)
に改良

単鎖血液凝固第VIIIはち因子製剤
(エイスフチラ)

図:単鎖血液凝固第Ⅷ因子(エイフスチラ)
一本鎖(単鎖)結合している状態へ
(共有結合)

さらに止血作用に必要なフォン・ヴィレブランド因子と結びつく力が強く、離れにくい特徴もあり、より長く血液中にとどまることができます。

図:エイフスチラとフォン・ヴィレブランド因子(VWF)が結びついた様子
フォン・ヴィレブランド
因子(VWF)って何?
図:フォン・ヴィレブランド因子(VWF)
  • 血液凝固第VIIIはち因子を長持ちさせる
  • 血液凝固第VIIIはち因子を血管の中の出血部位へ運ぶ
どのような働きで止血しますか?

エイフスチラは、出血している場所で
血液凝固第VIIIはち因子と同じように変化し、出血を止めます。

もともと血液凝固第VIIIはち因子は、出血している場所で形が変化して出血を止めます。エイフスチラも、出血している場所に到達すると血液の中にある通常の血液凝固第VIIIはち因子と同じ形に変化して同様の止血効果を発揮します。

止血におけるエイフスチラとフォン・ヴィレブランド因子(VWF)

図:エイフスチラが出血を止めるまでの流れ
エイフスチラでは、どのような治療法がありますか?

出血時の投与、手術・処置前の投与、
定期的な投与の3種類があります。

エイフスチラは、「出血時の投与」、「手術・処置前の投与」、「定期的な投与」のいずれにも使うことができます。投与の際は、決められた量のエイフスチラを添付の溶解液全量で溶解し、緩徐に静脈内に注射します。なお、どのような目的で使用するかによって投与量や投与回数が異なりますので、必ず医師の指示に従ってください。

投与は家庭でも行うことができます。

医療機関で在宅自己注射教育を受け、医師から適切に使用できると判断された患者さんまたはご家族の方は、投与を家庭で行うことができます。希望する場合は医師に相談してください。

注射の痛みを和らげる方法

  • 薬剤バイアルと溶解液バイアルを冷蔵庫で保存していた場合は、室温に戻してから使用してください。
  • 局所麻酔薬を含んだテープやクリームを用いることもあります。詳しくは医師に相談してください。
定期補充療法を行う場合、投与間隔が選択できますか?

患者さんのライフスタイルなどに合わせて週2回または
週3回の投与を選べます。

エイフスチラを定期的に投与する場合、患者さんの血友病の重症度(重症・中等症・軽症)、関節の状態、出血頻度、職種、活動量などに合わせて、注射の投与間隔を週に2回あるいは週に3回のいずれかから選ぶことができます。ご自身に合った投与間隔の選択を医師と相談して決めましょう。

また、通常は週に2回の投与であっても出張や活動量が増加する場合は週に3回の投与に増やすこともできます。

エイフスチラの投与間隔(例)

図:エイフスチラの投与間隔(例:週2回投与と週3回投与の場合)
出血時における投与方法の注意事項はありますか?

出血時の投与量や投与間隔については、医師の指示に従ってください。

出血時におけるエイフスチラの投与方法に関する注意事項

  • 出血時におけるエイフスチラの投与量や投与間隔は、他の血液凝固第VIIIはち因子製剤と同様に血液検査によって測定した「血液凝固第VIIIはち因子活性レベル」や「出血部位や出血量」など、患者さんの状態に応じて医師が調節します。
  • エイフスチラをお使いになる際は、医師の指示を必ず守り、自分の判断で投与量や投与間隔を変更することはやめましょう。
どのような規格がありますか?

エイフスチラはバイアルに含まれている単位数によって
7種類の規格があります。また、規格によって日局注射用水(溶解液)の量が異なります(2.5mL、5mL)。

エイフスチラの種類

日局注射用水(溶解液)2.5mL、日局注射用水(溶解液)5mL

溶解前のエイフスチラは、白色~微黄色の製剤です。エイフスチラを添付の溶解液で溶解すると、無色透明~わずかに乳白色の液になります。

どのように作られていますか?

エイフスチラは、ヒトや動物由来の成分を
添加せずに精製・製剤化しています。

まずCHO細胞※1を用いた遺伝子組換え技術によって、たんぱく質(単鎖第VIIIはち因子)を作り出す細胞を作成します。そして、その細胞から大量に作られたたんぱく質から、不純物やウイルスを不活化・除去するために、いくつもの工程を経てエイフスチラが製剤化されます。一連の製造工程において、ウイルス感染の原因と考えられるヒトや動物由来の成分は使用されていません。

エイフスチラの製造工程

図:エイフスチラの製造工程
※1 CHO細胞って何?

CHO細胞とは、チャイニーズハムスターの卵巣細胞のことです。1980年代から現在まで、遺伝子組換え医薬品の製造に用いられている細胞の1つで、その安全性が確認されています。

どのような副作用が報告されていますか?

日本と海外の血友病A患者さん258人(国内10人、海外248人)にエイフスチラを投与したところ、
14人(国内1人、海外13人)に副作用が確認されました。
(国際共同試験より)(承認時)

エイフスチラでみられた副作用

図:エイフスチラでみられた副作用、過敏症・呼吸困難、浮動性めまい、錯感覚、発熱・悪寒・熱覚、発疹・紅斑・そう痒症・注射部位疼痛、インヒビターの発現(※初めて治療する患者さんでインヒビターの発現が報告されています。)
インヒビターって何?

患者さんによっては、投与された血液凝固因子を異物とみなして凝固因子の働きを阻害する抗体が作られることがあり、この抗体をインヒビターといいます。インヒビターが発現すると、血液凝固因子製剤の効果が弱くなります。

以下のような時は、医師、看護師または薬剤師に相談してください。

  • 副作用と思われる症状や、その他にも気になる症状があらわれた場合
  • 射のあとに十分な止血効果が感じられない場合

症状が重篤と判断した場合は、夜間・休日であってもすぐに医師、看護師または薬剤師に連絡してください。

今までのお薬からエイフスチラに切り替えることで
インヒビターはでませんか?

今までに他の第VIIIはち因子製剤を回数多く使用した患者さんがエイフスチラへ切り替えた場合にはインヒビターの発現は報告されていません。ただし継続試験において、エイフスチラを第VIIIはち因子製剤として初めて使用した患者さんではインヒビターの発現が報告されています。

一般に、インヒビターは、血液凝固第VIIIはち因子製剤を使用してまもない時期に発現しやすいとされています。

適切な保存方法は?

エイフスチラは、冷蔵庫(2~8℃)で保存します。

エイフスチラは、冷蔵庫(2~8℃)で、遮光して保存することが望ましいですが、25℃以下の室温でも保存できます。
この場合には、使用期限を超えない範囲で3ヵ月以内に使用し、再び冷蔵庫に戻さないでください。

  • 光の影響を防ぐために、エイフスチラは外箱に入れたままの状態で保存してください。
  • 冷蔵庫から取り出したエイフスチラと溶解液は、室温に戻してから使ってください。
  • 25℃を超えて保存した場合は使わないでください。

エイフスチラを凍結させないでください。

  • 凍結させた場合は使わないでください。

溶解したエイフスチラは25℃以下で保存し、4時間以内に使ってください。

  • 溶解後、4時間を過ぎたものは使わないでください。
図:冷蔵庫(2~8℃)で保存
災害時の保存方法は?

停電で冷蔵保存ができなくなった際には、
保存状態(温度)をご確認ください。

  • 25℃以下の室温の範囲内で保存されていた場合、停電から3ヵ月以内かつ使用期限を超えない範囲でご使用ください。また、外箱に入れたまま遮光した状態で保存してください。
  • 25℃を超えて保存した場合は使わないでください。
  • 薬剤を持ち運ぶ場合は、保冷剤を使用して2-8℃で管理してください。
エイフスチラを持ち歩くときの注意点は?

2~8℃を保つため、保冷剤と一緒に保冷バッグに
入れてください。

エイフスチラを持ち運ぶときは、冷蔵の状態と同じく2~8℃を保つよう、保冷剤と一緒に保冷バッグに入れ、遮光して持ち運びます。高温になりやすい場所では温度管理に注意し、保冷剤の量を調整してください。

  • 2~8℃、遮光
  • 保冷剤と一緒に保冷バッグに入れる

注意する場所

  • 車内
  • 直射日光の当たる場所
  • 暖房の吹き出し口付近
  • 熱を持ちやすい電子機器の近く など
投与や出血の記録はつけたほうがいいですか?

エイフスチラの家庭療法を行った時は、投与の記録を
必ずつけましょう。

エイフスチラの自己注射を行ったあとは、輸注状況や出血の状況を必ず投与記録表へ記入し、必ず次回の通院時に担当の医師、看護師または薬剤師にみせましょう。また、血友病の担当医以外を受診する場合や、薬局などで他の薬を購入する場合は、必ずこの薬を使用していることを医師、看護師または薬剤師に伝えてください。

エイフスチラの投与の記録

  • 投与日時
  • 製造番号(ロット番号)
  • 定期的な投与か、出血時の投与か
  • 投与量
  • 出血時に投与する場合は、出血部位、出血の程度、出血から投与までの時間
  • 投与中の異常、気づいた点
  • 投与後の異常、気づいた点
  • その他、困ったこと

エイフスチラの使用で保存される情報

エイフスチラは「血液製剤代替医薬品」であるため、投与した日から
少なくとも20年間、以下の情報が医療機関で保存されます。

  • 製品名(販売名)
  • 製造番号(ロット番号)
  • 投与または処方した日
  • 投与または処方を受けた患者氏名、住所 等

輸注や出血に関する記録を記入できる、輸注記録表をご用意しています。

輸注や出血に関する記録を記入することのできる様々な種類の輸注記録表があります。
CSLベーリングからはスマホアプリ「ユチュウ部マネージャー」を提供しています。輸注・出血記録はもちろん、次回輸注日が分かりやすく表示されたり、活動量や関節違和感の活動記録もでき、担当先生宛てにメールを送ることも可能です。