あなたは、CSLベーリングの医薬品を使用されている、あるいは使用される予定の患者さん、またはそのご家族の方ですか?
イデルビオンは、アルブミンと血液凝固第IX因子を結合させることで、血液中に長くとどまることができる遺伝子組換え血液凝固第IX因子製剤です。イデルビオンは、出血している所ではアルブミンと第Ⅸ因子が切り離され、第Ⅸ因子で止血のために働きます。長時間効果が持続するので、通常の第Ⅸ因子製剤よりも注射の回数が少なくてすみます。
アルブミンとは?
血液中にたくさん存在し、栄養素など色々なものと結合して目的地まで運んだり、体内の水分を調節したりする働きがあります。
Metzner HJ et al.: Thromb Haemost. 2013; 110(5): 931-939
Schulte S.: Thromb Res. 2013; 131: S2-S6
Metzner HJ et al.: Thromb Haemost. 2009; 102(4): 634-644
より改変・作図
1回の投与量や投与の回数は、患者さんの症状や体重などにあわせて医師が決定します。また、医療機関で在宅自己注射教育を受け、適切に使用できると医師が判断した場合は、自宅で投与することも可能です。
1-1. 手術・処置前の補充療法
予め出血が予想される手術や歯科治療などの処置で、処置前や手術前に血液凝固第IX因子を補充する治療法です。手術・処置後の出血を防ぐために、一定の期間は凝固因子レベルを高く維持する目的で、繰り返し投与することもあります。
1-2. 急性出血時の補充療法
出血したとき、完全に血が止まるまで血液凝固第IX因子を補充する治療法です。血液凝固第IX因子製剤の注射は、出血後できるだけ早く(可能であれば2時間以内)に行います。
出血を予防するために、定期的に血液凝固第IX因子を注射する治療法です。血液凝固第IX因子の働きの強さ(活性値)を一定以上に保つように、血液凝固第IX因子製剤の投与間隔や投与量を調節します。
血液凝固第IX因子活性が1.0%を下回ると出血リスクが高くなるため、定期補充療法では、活性値が常に1%以上となるように定期的な投与を行います。スポーツなどの活動性の高い動きをする場合は、出血を防ぐためにより高い血液凝固第Ⅸ因子活性が必要となります。
イデルビオンを反復投与した時の血液凝固第IX因子活性
(シミュレーション)
Y Zhang et al., Population pharmacokinetics of a new long-acting recombinant coagulation factor IX albumin fusion protein for patients with severe hemophilia B. J Thromb Haemost.
Adapted by permission from John Wiley and Sons.より改変
イデルビオンの定期的な投与方法の例
投与するタイミングは、注射する日のうちで都合の良い時間で問題ありません。
出血時におけるイデルビオンの投与方法に関する注意事項
イデルビオンの種類
イデルビオンを添付の
溶解液で溶解すると、
薬液は黄色になります。
遺伝子組み換え技術によってアルブミン融合血液凝固第Ⅸ因子を産生するように作られた細胞から、大量のアルブミン融合Ⅸ因子を作成します。そこから不純物やウイルスなどが紛れ込まないよう、いくつもの工程を経てイデルビオンが生成されます。一連の製造工程において、ウイルス感染の原因と考えられるヒトや動物由来の成分は使用されていません。
イデルビオンの製造工程
イデルビオンを産生する細胞を培養
異物やウイルスを除去するための4つの工程
不純物の除去
ウイルスの不活化
(ウイルスの感染力や毒性を失わせること)
不純物の除去(3工程)
ウイルスの除去ろ過
ガラスバイアルに詰めて
凍結乾燥を行い製剤化
イデルビオンでみられた副作用
下記のような症状や、このほかにも気になる症状があらわれた場合には、医師、看護師または薬剤師に相談してください。
頭痛(1~2%未満)
浮動性めまい(1~2%未満)
発疹・湿疹(1%未満)
過敏症(1%未満)
重大な副作用
これらの症状があらわれた場合には、夜間・休日であってもすぐに医師、看護師または薬剤師に連絡してください。
重大な副作用 | 主な自覚症状 |
---|---|
ショック (頻度不明) |
冷や汗、めまい、意識がうすれる、考えがまとまらない、血の気が引く、息切れ、判断力の低下 |
アナフィラキシー (頻度不明) |
身体がだるい、ふらつき、意識の低下、考えがまとまらない、ほてり、目と口唇のまわりのはれ、しゃがれ声、息苦しい、息切れ、どうき、じんましん、判断力の低下 |
血栓塞栓症 (頻度不明) |
血を吐く、吐き気、嘔吐、胸の痛み、胸をしめつけられる感じ、胸を強く押さえつけた感じ、激しい腹痛、腹がはる、足の激しい痛み、出血、知覚のまひ |
インヒビターの発現(頻度不明)
イデルビオンを投与しても予想した止血効果が得られない場合、インヒビターの発現が疑われます。
国際共同試験において、血液凝固第IX因子製剤による治療経験のある患者さんに、インヒビターの発現はありませんでした。現在行っているイデルビオンの臨床試験で、治療経験のない患者さんにインヒビターが発現しました。
注射のあと十分な止血効果が感じられない場合には、ただちに医師、看護師または薬剤師に連絡してください。
インヒビターとは?
患者さんによっては、投与された血液凝固因子を異物とみなして抗体が作られることがあり、この抗体をインヒビターといいます。
インヒビターが発生すると、血液凝固因子製剤の効果が弱くなります。インヒビターは、初回投与後から、いつでも発生する危険があります。
以下に当てはまる方は、イデルビオンを使う前に
医師に相談してください。
イデルビオンの保存方法
下記のような症状や、このほかにも気になる症状があらわれた場合には、医師、看護師または薬剤師に相談してください。
イデルビオンを冷蔵庫で保管していて停電が発生した場合は、庫内温度が25℃を超えている可能性があるので、停電していた時間に関わらず使わないでください。
※冷蔵庫に入れず室温(2~25℃)で保存していた場合は、そのままお使いください。
緊急時の対応について
事前に緊急時の対応を主治医の先生に確認しておきましょう。
緊急時の受診体制(緊急時はどこで受診すれば良いのかなど)について、
事前に主治医の先生に確認しておきましょう。
旅行・出張時について
イデルビオンを持ち運ぶときは、保存方法と同じように2~25℃で、遮光して持ち運びます。ただし夏場、車内、暖房のきいた室内など、25℃を超える場所で持ち運ぶときは、保冷剤と一緒に保冷バッグに入れてください。2~25℃を維持した状態で持ち運んでいれば、滞在先の冷蔵庫で再び保管できます。
注意する場所
イデルビオンの自己注射を行ったあとは、輸注状況や出血の状況を必ず投与記録表へ記入し、必ず次回の通院時に担当の医師、看護師または薬剤師にみせましょう。
また、血友病の担当医以外を受診する場合や、薬局などで他の薬を購入する場合は、必ずこの薬を使用していることを医師、看護師または薬剤師に伝えてください。
イデルビオンは「血液製剤代替医薬品」であるため、
投与した日から少なくとも20年間、
以下の情報が医療機関で保存されます。
血友病患者さんにより良い生活を送っていただくために開発されたアプリ
「ユチュウ部マネージャー」です。
輸注日が一目でわかり操作も簡単な輸注管理機能。日記のように仕事や学校、プライベートなど、日々の記録も残しながら管理できます。
輸注日カウントダウンメーター
定期補充療法日から次の定期補充療法日までがメーター表示で一目でわかります。
簡単入力で輸注・出血記録
本アプリはどの薬剤にも対応しています。日時やロットナンバーも1回入力すれば、次から自動入力されます。
ワンタッチスタンプ活動記録
毎日の気分、運動量、出血不安、関節違和感を、楽しいスタンプで手軽に記録できます。
簡単便利なスケジューラー
アラーム機能も付いたスケジューラーです。出張や体育祭など、医師に伝えたい予定は「公開」にチェックを入れると、輸注記録と一緒に医師とイベント情報を共有できます。
メールで送信ボタンを押すだけで、メーラーが立ち上がり、医師宛てのメールに記録内容が自動的に添付されます。
メールに医師に聞きたいことを書いて送ることもできます。