監修
久留米大学医学部 小児科学教室 松尾 陽子 先生保因者とは血友病の遺伝子を持っている女性
血友病の保因者とは、「2本のX染色体のうち1本に血友病の原因となる遺伝子変異を持っている女性」のことです。もう1本の正常なX染色体の働きで、血液を固めて出血を止める「凝固因子」を作ることができるので、血友病を発症することは基本的にはありません。
男性は、X染色体を1本しか持っていないので、それが血友病の原因遺伝子変異のあるX染色体ならば、血友病を発症します。
血友病の原因となる遺伝子変異は、遺伝によって親から子に伝わるだけでなく、突然変異によって新しく生じることも少なくありません。
保因者の数
日本に保因者が何人いるのかを調べたデータはありません。保因者数は血友病患者数の1.6~5倍といわれているので*、日本の血友病患者数(約6,000人)から推計すると、1~3万人の保因者がいることになります。
*西田恭治ほか. 産科と婦人科. 2013.80:40-46
「確定保因者」と「推定保因者」
保因者は、血友病の家族歴から保因者であることが確実な「確定保因者」と、保因者の可能性はあるが確定できない「推定保因者」に分類されます。推定保因者の場合、保因者診断によって保因者かどうかを調べることもできます。