監修
久留米大学医学部 小児科学教室 松尾 陽子 先生血友病治療は飛躍的に進歩し、新たな治療法の研究・開発も続けられています
あなたのお父さん、お祖父さんなどが血友病患者だという方は、血友病がとてもたいへんな病気で、重い関節障害や感染症を抱えてしまうというイメージを持っているかもしれません。しかし、血友病治療はここ20~30年で大きく進歩し、患者さんは血友病でない人と変わらない生活を送ることができるようになりました。
まず、ご家族が血友病についての正しい知識を持っておくことが、お子さんの治療を順調に行う上でも、日常生活に支障ない明るい人生を送っていくためにも重要なポイントになるはずです。
定期補充療法の普及
かつての血友病治療は、出血があったときに凝固因子製剤を注射して補充するものでした。この治療法では、注射するほどではない小さな出血、特に関節内の出血を繰り返すことで生じる関節炎を防ぐことはできませんでした。
しかし最近では、血友病性関節症を予防するために、凝固因子製剤を定期的に注射して出血を未然に防ぐ定期補充療法が一般的な治療法となっています。定期補充療法を適切に行えば、スポーツなどにも挑戦できるなど健康な人と変わらない生活を送ることができます。
新たな凝固因子製剤の研究・開発
補充療法に用いる凝固因子製剤はヒトの血液を原料としない遺伝子組換え技術を使った製剤が開発され、安全性が高まっています。また、半減期延長型と呼ばれる効果が長持ちする製剤の開発が進んでいて、定期補充療法での頻回の注射という負担も軽減されつつあります。
現在でも新しい治療法の研究・開発が続けられていますから、今後、血友病患者さんの治療環境の更なる向上が期待されています。