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制度・手当の一覧から探す生活費を助成する制度(年金、手当)

監修

国立病院機構大阪医療センター 医療相談室 岡本 学 先生

年金制度

障害年金と身体障害者手帳について

障害年金と身体障害者手帳は、それぞれ別の法律で規定されている別の制度で、申請窓口や審査機関も異なります。身体障害者手帳が無くても障害年金の申請はできますし、手帳を持っていても障害年金の手続きは別に行わなければいけません。また、障害の程度を表す「等級」も異なります。

障害年金(年金保険)
障害年金(年金保険)

65歳になる前から受給できる年金

身体障害者手帳(障害福祉サービス)
身体障害者手帳(障害者福祉)

様々な障害福祉サービスを受けるためのパスポート

障害年金

病気やケガによって生活や仕事などが制限されるときに、65歳になる前から受け取ることができる年金です。
国の定めたいくつかの要件に該当しなければ受給できませんが、血友病患者さんのように先天性の病気の人は、障害の原因となった病気やけがの初診日が20歳以前にあるケースとして、「障害基礎年金」の申請ができます。
ただし、障害年金は「血友病」という病気に対してではなく、症状によって日常生活や仕事に制限がある場合に支給されるものです。

障害基礎年金(初診日が20歳前の場合)

手続き窓口 お住まいの市区町村の国民年金課
受給対象
  • 障害の原因となった病気やけがの初診日が20歳以前にある
  • 障害の状態が、障害認定日または20歳に達したときに、障害等級表の1級または2級に該当している
    (障害認定日に障害の状態が軽くても、その後重くなったときは、障害基礎年金を受け取ることができる場合があります)
対象年齢 20歳に達した日から65歳になる前々日まで
助成内容 1級:年額972,250円+子の加算*
2級:年額777,800円+子の加算*
*対象者がいる方のみ
(金額は2022年4月時点)

申請までの流れ

20歳より前に障害認定基準を満たす場合は、20歳に達した日に申請することが可能です。また、20歳に達したときには障害等級に該当しなかった人でも、65歳になるまでに障害の状態が重くなった場合、「事後重症」として障害年金の対象になります。

申請までの流れ

申請に必要な書類

医師による診断書
  1. ①20歳になってはじめて障害基礎年金を申請する場合、20歳の誕生日から3ヵ月以内に診断書を作成してもらい申請を行うと、診断書の提出が1通で済みます。
  2. ②20歳の誕生日から時間が経ってから申請する場合、障害認定日(20歳の誕生日)時点の診断書と、現在の状態の診断書の2通が必要になります。
病歴・就労状況等申立書

本人または家族が、障害の状態や日常生活の状況を記入します。

受診状況等証明書

初診時の医療機関と診断書を作成した医療機関が異なる場合、初診日の確認をするために必要です。

そのほかの書類

年金請求書、本人名義の預金通帳、印鑑など

患者さんの状況によって他に書類が必要になることもあるので詳しくは窓口で確認してください。

障害基礎年金等級表

1級

他人の介助を受けなければ日常生活のことがほとんどできないほどの障害の状態

2級

必ずしも他人の助けを借りる必要はなくても、日常生活は極めて困難で、労働によって収入を得ることができないほどの障害

障害等級認定基準(血液・造血器疾患による障害)

認定基準は「一般状態区分」と「検査結果」の2つに分けられており、その2つを照らし合わせて認定されます。
ただし、認定基準をもとに審査をおこなうのは疾患に応じた年金機構の医師(認定医)ですので、日常生活に支障をきたす症状は主治医にしっかりと説明して、診断書に記入してもらうことが大切です。

障害の程度 障害の状態
1級 以下のすべてに該当する場合
  1. ①以下のうちいずれか1つ以上が該当するもの
    • 高度の出血傾向、血栓傾向または関節症状のあるもの
    • 補充療法をひんぱんにおこなっているもの
  2. ②以下のうちいずれか1つ以上が該当するもの
    • APTTまたはPTが基準値の3倍以上のもの
    • 血小板数が2万/μL未満のもの
    • 凝固因子活性が1%未満のもの
  3. ③身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの
2級 以下のすべてに該当する場合
  1. ①以下のうちいずれか1つ以上が該当するもの
    • 中度の出血傾向、血栓傾向または関節症状のあるもの
    • 補充療法を時々おこなっているもの
  2. ②以下のうちいずれか1つ以上が該当するもの
    • APTTまたはPTが基準値の2倍以上3倍未満のもの
    • 血小板数が2万/μL以上5万/μL未満のもの
    • 凝固因子活性が1%以上5%未満のもの
  3. ③以下のうちいずれかに該当するもの
    • 身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの
    • 歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの

APTT:活性化部分トロンボプラスチン時間(血液検査項目)
PT:プロトロンビン時間(血液検査項目)
血栓疾患、凝固因子欠乏症でインヒビターが出現している状態、および凝固第I因子(フィブリノゲン)が欠乏している状態の場合は、検査所見によらず、臨床所見、治療および病状の経過、具体的な日常生活状況などを十分考慮し、総合的に認定する。

・関節障害がある場合には「肢体不自由」の診断書を合わせて申請することができます。

所得による支給制限について

20歳前発症の病気を障害の原因として年金を受け取る場合、所得による支給制限があります

20歳前傷病による障害基礎年金の所得による支給制限(1人世帯 扶養家族なしの場合)

20歳前傷病による障害基礎年金の所得制限(1人世帯 扶養家族なしの場合)

世帯人数が増加して扶養家族が増えた場合、上記所得制限額に加算がつきます。

(2022年4月時点)

参考)障害年金ガイド 令和4年度版(日本年金機構)
国民年金・厚生年金保険 障害認定基準(日本年金機構)
医療福祉総合ガイドブック(医学書院)2021年度版
日本年金機構webサイト