ハイゼントラの投与方法
在宅自己注射の開始にあたっては、医療機関でトレーニングを受けてください
ハイゼントラによる在宅治療を希望される患者さんには、3回以上の医療機関でのトレーニング実施を推奨しています。
ハイゼントラの投与にあたっては、シリンジポンプをはじめとした必要な器具のセットアップ、清潔操作、トラブル時の対処などについての知識を習得する必要があります。
医療機関、主治医による十分な説明とトレーニングを受けるようにしてください。
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投与ステップ
スタート
事前準備
作業の目安時間(例)
2~3 時間
ハイゼントラ
の注入
作業の目安時間(例)
30分 ~ 1時間
- 10シリンジポンプのセットと薬の注入
(使用するシリンジポンプによって操作方法が異なります。詳しくは別冊のシリンジポンプ説明書をご覧ください)
ゴール
※作業の目安時間は翼状針1本を使用した場合の目安です。
[ ステップ 1 ] 薬(バイアル)の準備
主治医から指導を受けた注入に必要な用量の薬(バイアル)を準備してください。
冬場や冷蔵庫保存の場合は、室温になるまで待つ

箱に入れたまま平らな場所に置き、室温になるまで待ちます。
冷蔵庫保存の場合は注入に必要な薬を少なくとも注入開始時間の2~3時間前に取り出してください。
ワンポイント
薬の温度が低いまま注入すると、ねばり気がまし、ポンプがつまりやすくなります。
必ず室温になっていることを確認してから使ってください。
直射日光・高温は避けてください

- 直射日光があたる場所や、熱を発する物のそばに薬を置かないでください。
- 薬を水やお湯につけたり、電子レンジを使用するなどほかの方法で温めて、早く室温にしようとしないでください。
薬の有効性や安全性に影響する可能性があります。
薬を激しく振らないでください

- 多量の泡ができて、注入量が不正確になります。
[ ステップ 2 ] 事前準備
トイレに行く
注入には約30分から1時間かかりますので、トイレは事前に済ませておきましょう。
作業する場所を確保する
カウンターやテーブルなど、作業しやすい場所を選んでください。
始める前に薬の注入に関係のない物は片づけてください。
ワンポイント
作業する場所の条件
- 十分な広さ
注入に必要な物をすべて置くことができる広さを確保してください。
注入に必要な物は、≫ステップ3で紹介しています。 - 表面が平らで滑らかな場所
作業中に物が倒れたり落ちたりしないよう、平らで滑らかな場所を選んでください。 - 消毒用アルコール綿で表面を拭ける場所
毎回消毒しますので、アルコールで拭けない素材の場所は避けてください。
作業する場所を消毒する

作業する場所を、消毒用アルコール綿で中心から外側に向かって円を描くように、きれいに拭いてください。
[ ステップ 3 ] 必要な物を並べる
作業する場所に、必要な物を並べる
落としたり、シリンジの準備や針の挿入に失敗してやり直すため、手順を再度行わなければならなくなった場合には、必ず予備を使用してください。
※1日2ヵ所以上投与する場合は、注入セットを必要数用意してください。
針を挿入するときの痛みが気になる方は、外用局所麻酔剤など用いることが可能です。詳しくは主治医にお尋ねください。

[ ステップ 4 ] 手洗い
手をきれいに洗う

抗菌石鹸、または主治医や医療機関のスタッフがすすめる洗浄剤を使って手をきれいに洗います。
注意
指と指の間、爪のまわり、手首まで念入りに洗ってください。
[ ステップ 5 ] バイアルの確認
バイアル(薬)に異常がないことを確認する
バイアルのチェックポイントを確認します。

注意
一つでも異常があった場合や心配なことがあるときは、手順を中止し、主治医に連絡してください。
[ ステップ 6 ] シリンジの準備(ツートックの場合)
薬をシリンジに移す
【1】バイアルが室温になっていることを確かめた上で(≫ステップ1参照)、今回の注入に使うバイアルの保護キャップを外します。
【2】バイアルのストッパー上部を、消毒用アルコール綿で丁寧に拭き、完全に乾くまでそのまま放置してください。

清潔を保つための重要ポイント
バイアルのゴム栓部分、ツートックのシリンジとの接続部、フィルター部、内側の針には直接触らないでください。

【3】ツートックをバイアルに取りつけます。

注意

- シリンジの接続部や針部分がテーブルなどに触れないよう、清潔に作業してください。
- 針はまっすぐ垂直に刺してください。斜めに刺すと針で削り取られたゴム片が混入してしまうことがあります。
【4】ツートックにシリンジを取りつけてください。

【5】バイアルをまっすぐ逆さにします。内筒(ピストンのように動く内側の部分)をゆっくりと引いて、バイアル中の合計注入量※をシリンジに抜き取ります。この際、泡が見られます。
※合計注入量:投与量にプライミング(≫ステップ7)の量を加えた量。合計注入量は、My Diary(患者日誌)を確認してください。

注意
内筒はゆっくりと引き、急には引かないでください。
【6】注入量の薬を移したら、シリンジを上に戻し、ツートックからシリンジを取り外してください。

注意
薬が入って使える状態にしたシリンジは、お子さんなどの手の届かない安全で清潔な場所に置いてください。
【7】廃棄の際、ツートックはバイアルから取り外し、廃棄用空きビンに捨てます。

[ ステップ 6 ] シリンジの準備(プラスチック針の場合)
薬をシリンジに移す
【1】バイアルが室温になっていることを確かめたうえで(≫ステップ1)、今回の注入に使うバイアルの保護キャップを外します。
【2】バイアルのストッパー上部を、消毒用アルコール綿で丁寧に拭き、完全に乾くまでそのまま放置してください。

【3】プラスチック針をキャップをつけたままシリンジに取りつけてください。

注意
- 針先、シリンジの先、バイアルのゴム栓部分には直接触らないでください。
また、これらの部分がテーブルなどに触れないよう、清潔に作業してください。 - 針の取り扱いには、十分気をつけてください。
【4】内筒を、注入量の位置まで引いてシリンジに空気を入れてください。

【5】プラスチック針のキャップを外し、バイアルの中央にプラスチック針を刺します。

注意

針はまっすぐ垂直に刺してください。斜めに刺すと針で削り取られたゴム片が混入してしまうことがあります。
【6】針先が液面についていないことを確認し、内筒をゆっくり押して、バイアルに空気を送り込みます。これをすることで、薬が抜き取りやすくなります。

注意
バイアルに空気を送り込むときに、針先が液面についていると泡ができて薬が抜き取れなくなることがあります。必ず、針先が液面についていないことを確認してから空気を送り込んでください。
【7】空気を送り込めなくなったら、バイアルをまっすぐ逆さにします。内筒をゆっくりと引いて、バイアル中の合計注入量をシリンジに抜き取ります。
必要に応じて、≫ステップ6の4から7を繰り返してください。
※合計注入量は、My Diary(患者日誌)を確認してください。

注意
- 内筒はゆっくりと引き、急には引かないでください。
- バイアルに刺したプラスチック針は滑りが悪いので、回転させながら抜いてください。
ワンポイント
薬を一度に抜き取れない場合
針先をバイアルの空気部分に出し、シリンジの内筒を押して残りの空気を送り込みます。
バイアル中の合計注入量を抜き取ってください。
(一度で抜き取れないときは、(1)と(2)の作業を何度か繰り返してください)
【8】注入量の薬を準備したら、シリンジからプラスチック針を外します。

注意
薬が入って使える状態になったシリンジは、お子さんなどの手の届かない安全で清潔な場所に置いてください。
【9】プラスチック針はキャップを取りつけずに、廃棄用空きビンに捨てます。針の先に注意してください。

[ ステップ 7 ] プライミング(翼状針1本の場合)
ワンポイント
プライミングとは?
チューブから空気を抜き、針先まで薬液で満たす作業のことをいいます。
【1】薬を入れたシリンジに翼状針を取りつけます。短い翼状針の場合、輸液チューブを接続します。

【2】薬を入れたシリンジに翼状針を取りつけたら、シリンジの内筒をゆっくり押して、チューブから針先まで薬を満たしてください。

注意
- 皮膚に針を刺した状態で、プライミングを行わないでください。
- 薬を針先からたらさないでください。注射部位が赤くなったり腫れたりする原因になります。
- 注入開始前にチューブの空気が抜けていることを確かめてください。(微細な気泡は残っていても問題はありません)
[ ステップ 7 ] プライミング(Y字チューブの場合)
ワンポイント
プライミングとは?
チューブから空気を抜き、針先まで薬液で満たす作業のことをいいます。
【1】Y字チューブに翼状針を取りつけ、薬を入れたシリンジに取りつけます。

【2】薬を入れたシリンジにY字チューブを取りつけたら、シリンジの内筒をゆっくり押して、チューブから針先までを薬で満たしてください。

注意
- 皮膚に針を刺した状態で、プライミングを行わないでください。
- 薬を針先からたらさないでください。注射部位が赤くなったり腫れたりする原因になります。
- 注入開始前にチューブの空気が抜けていることを確かめてください。(微細な気泡は残っていても問題はありません)
[ ステップ 8 ] 注射部位の消毒
消毒用アルコール綿で注射部位を消毒してください。
部位の中心から円を描くように外側に向かって拭いて消毒し、完全に乾かしてください。

注意
注射部位は、週1回の注射ごとに変更し、これまでの投与でトラブルがあった部位(赤くなったり、腫れがあったなど)を避けてください。
針の挿入時の痛みについて
針を挿入するときの痛みの緩和に、外用局所麻酔剤等を使用することができます。
詳しくは主治医にお尋ねください。
[ ステップ 9 ] 針の挿入
【1】翼状針の網目のあるほうを持ち、針についているキャップを外します。
【2】皮膚をつまみ、45°から90°の角度を目安に翼状針を一気に刺してください。針の注射角度については、主治医の指示に従ってください。

【3】シリンジの内筒をゆっくりと引いて、チューブへ血液の逆流がないか確認してください。

注意
チューブに血液が逆流した場合、針を一旦抜き、翼状針をシリンジから外して廃棄します。
新しい翼状針で、≫ステップ7(プライミング)から再度行ってください。
【4】皮下へ針を挿入できたら、翼状針の下に脱脂綿または消毒用アルコール綿を敷き(図A)、そのうえから細めのテープを斜めに貼りつけて翼状針と脱脂綿または消毒用アルコール綿がずれないように固定してください(図B)。
【5】チューブをたるませた状態にし、サージカルテープで体のどこか1ヵ所に固定してください。
注意
注入の途中で針が抜けないよう丁寧に固定してください。
注意
※Y字チューブを使用し2ヶ所へ投与する場合は、左右の腹部、または左右の太ももに投与します。
※複数個所に分けて注入する方は、主治医の指導に従って行ってください。
[ ステップ 10 ] シリンジポンプのセットと薬の注入
シリンジポンプのセットと薬の注入については、別冊のシリンジポンプ説明書をご覧ください。
[ ステップ 11 ] 針の取り外し
【1】シリンジポンプ停止後10秒ほど時間をおいて、サージカルテープを注射部位から外し、翼状針をゆっくりと抜きます。
【2】注射部位から出血がないことを確かめた後、ばんそうこうで保護します。軽い出血があるときは、出血が止まるまで消毒用アルコール綿でおさえてください。
[ ステップ 12 ] 針の廃棄
翼状針をシリンジからゆっくりと外し、キャップをつけずに廃棄用空きビンに入れます。
※Y字チューブを使用した場合は、Y字チューブと翼状針をまとめて廃棄してください。

[ ステップ 13 ] 2回以上に分けて注射する場合
新しい注入セットで≫ステップ6(シリンジの準備)からもう一度行ってください。
2回目以降はすでに注入を行った部位から5cm以上離れた場所に注射してください。
[ ステップ 14 ] 片づけ
注入に使用した物は、次のように片づけてください。

[ ステップ 15 ] 患者日誌の記入
【1】使用したバイアルに記載の製造番号を、患者日誌の所定の場所に記入してください。

注意
詳しい記入方法は、患者日誌をご覧ください。
【2】患者日誌に注入の記録をつけてください。

記入方法や記入する項目は、患者日誌をご覧ください。