健常な人は体内に細菌やウイルスなどの病原体が侵入(感染)すると、これらを排除する防衛反応が生じます。この反応を担うのが免疫系といいます。PIDは、生まれつき免疫のはたらきに支障がある病気の総称です。大きくは8つに分類され、細かくは約300種類のタイプに分けられます。そのため原因はいろいろあります。基本的には遺伝性の疾患ですが、同様の症例が家族に現れないという報告も多く見られます(家族の中で1人だけ発症する特発例もあります)。
その理由として、遺伝子が環境に対応するために常に変化していることがあげられます。この変化は紫外線など、体外からの刺激でも起こることが知られています。そのため、遺伝性の疾患であっても、誰もが発症する可能性があります。
遺伝の例としてX染色体(性別を決める情報などが含まれる部分)の場合、母親がX染色体の保因者(発症はしていないが、その要因をもっている人)なら生まれてくる子のうち、男の子は2分の1の確率で発症し、女の子も2分の1の確率で保因者になります。
また、遺伝には劣性遺伝(両親ともに保因者で、どちらからも要因をもらわないと発症しない遺伝形式)があります。常染色体(性別以外の多くの情報を含む部分)劣性遺伝の場合、男の子、女の子にかかわらず4分の1の確率で発症します。