緊急時に備えよう
監修:済生会熊本病院 救急総合診療センター
前原潤一先生
突然HAEの発作が起きると、ついパニックになってしまい、正しい判断ができなくなるかもしれません。ここでは、そのような緊急時に備えるため、救急車を呼ぶ目安や緊急時連絡カード、旅行の際などに気をつけてほしいことについて紹介します。
救急車を呼ぶ目安は?
動けないくらいひどくお腹が痛んだり、声がかすれてだんだん苦しくなってきたりしたときは、緊急事態と考えてすぐに対応しましょう。
HAEの発作はできるだけ早く治療をすることで、腫れや痛みがひどくならず、早く治まることがわかっています1)。のどの腫れは、ひどくなると呼吸ができなくなり命に関わります。「息苦しい」状態になった場合は、直ちに救急車を呼んでください2)。
緊急事態として受診する目安
緊急時に備えよう(緊急時連絡カード)
いざというときに備えて、主治医と緊急時の対応を話し合っておくとよいでしょう。
外出時には、緊急連絡先、かかりつけ医療機関などを記載した「緊急時連絡カード」を常に持ち歩くようにしましょう。カードがあると、緊急時にHAEに関する情報をすぐに提示できるため、適切な救急搬送先での治療につながりやすくなります。
緊急時連絡カード
旅行先で発作が起きたときは
国内の場合
旅行や出張の際には、必ず緊急時連絡カードを持っていくようにしましょう。あらかじめ旅程を主治医に相談し、現地で対応できる病院への紹介状を作成してもらうと、旅先で受診した際にスムーズに治療が受けられます。
他にも、周囲の人に病気について伝えておくと、受診を助けてもらうことができるでしょう。
海外の場合
海外では、国によってHAEの治療に使える薬が異なります。渡航先で発作が起きた場合に備えて、治療薬の入手方法を主治医に相談しておくとよいでしょう。診断書を主治医に作成してもらい、現地の言語や英語に翻訳して持参するのもよい方法です。主治医に余裕をもってご相談ください。
1) Longhurst HJ et al: Allergy Asthma Clin Immunol 2010; 6(1): 22.
2) 厚生労働省:重篤副作用疾患別対応マニュアル 血管性浮腫(非ステロイド性抗炎症薬によらないもの). 令和元年9月改定.