医療費助成について
遺伝性血管性浮腫(hereditary angioedema: HAE)の患者さんは、治療にかかる医療費の負担を軽くする制度を利用できます。HAEは、「小児慢性特定疾病」と「指定難病」の医療費助成制度があります。ここでは、これらの概要や申請の方法などをご紹介します。
小児慢性特定疾病と指定難病の医療費助成制度を利用できます
「小児慢性特定疾病」と「指定難病」の
医療費助成制度の申請1),2)
「小児慢性特定疾病」と「指定難病」の医療費助成制度
「小児慢性特定疾病」と「指定難病」の医療費助成制度は、特定の病気にかかっている方の医療費の負担を軽くするために設けられた制度です。HAEは「小児慢性特定疾病」と「指定難病」に指定されています(指定難病では、HAEは「原発性免疫不全症候群」に含まれています)。「小児慢性特定疾病」は18歳未満の方、「指定難病」は18歳を超えた方を対象としています。
HAEは、具体的に下図のような基準が設けられています。
小児慢性特定疾病の基準
治療で、補充療法が
(断続的な場合も含めておおむね6ヵ月以上)
必要となる方
指定難病の基準
下記の重症度分類において中等症以上の方
または
下記の重症度分類で軽症でも、高額な医療を継続することが必要な方
(医療費総額が33,330円を超える月が、支給認定申請月以前の12月以内に3回以上ある場合)
―重症度分類(HAEを含む原発性免疫不全症候群)―
申請の流れ
医療費助成制度を利用するためには、申請が必要です。詳しい手続きはお住まいの自治体によって異なりますので、最寄りの保健所などにお問い合わせください。
指定医療機関で指定医による診断
必要な書類を集めて、都道府県・指定都市に申請
■主な書類
小児慢性 特定疾病 |
など |
---|---|
指定難病 |
など |
受付窓口および必要な書類は、お住まいの自治体によって異なりますので、最寄りの保健所などにお問い合わせください。
審査
承認&医療受給者証の交付
指定医1),2)
「小児慢性特定疾病」や「指定難病」の医療費助成制度を申請するためには、それぞれ都道府県・指定都市から指定を受けた指定医による診断書が必要です。また医療費助成を受けられるのは、指定医療機関で行われた医療に限られています。
指定医、指定医療機関については、かかりつけの医療機関や最寄りの保健所、インターネットなどでご確認ください。
指定医と指定医療機関のインターネットを使った確認方法
- ①お住まいの都道府県のホームページで確認できます。
- ②難病情報センターのホームページでも確認できます。
センター 都道府県・指定都市別「難病指定医」
(外部サイトへリンクします)
センター 都道府県・指定都市別「難病指定医療機関」
(外部サイトへリンクします)
医療費助成の対象1)~4)
「小児慢性特定疾病」と「指定難病」の医療費助成の対象となるのは、申請した病気の治療にかかった医療費のみです。風邪など、HAE以外の病気でかかった医療費は、助成の対象とはなりません。また、指定医療機関以外で受けた治療の医療費や、医療費助成の申請前の医療費も助成の対象外となります。
医療費助成の対象
HAEに関する 医療費 |
HAE以外の病気に関する 医療費 |
指定医療機関での 医療費 |
指定医療機関以外での 医療費 |
医療費助成の申請後の 医療費 |
医療費助成の申請前の 医療費 |
医療費の自己負担額1),2)
医療費助成制度を利用すると、1ヵ月あたりの自己負担上限額を超えた分が助成されることになります。つまり、受診時に医療受給者証を提示すれば、窓口で支払額がこの上限額を超えることはありません。
小児慢性特定疾病の
自己負担上限額
階層区分 | 年収の目安 (夫婦2人子ども1人世帯の場合) |
自己負担上限額 | |||
---|---|---|---|---|---|
一般 | 重症※ | 人工呼吸器等 装着者 |
|||
Ⅰ | 生活保護等 | 0円 | |||
Ⅱ | 市町村民税 非課税 |
低所得Ⅰ (~約80万円) |
1,250円 | 500円 | |
Ⅲ | 低所得Ⅱ (~約200万円) |
2,500円 | |||
Ⅳ | 一般所得Ⅰ (市区町村民税 7.1万円未満、~約430万円) |
5,000円 | 2,500円 | ||
Ⅴ | 一般所得Ⅱ (市区町村民税 25.1万円未満、~約850万円) |
10,000円 | 5,000円 | ||
Ⅵ | 上位所得 (市区町村民税 25.1万円以上、約850万円~) |
15,000円 | 10,000円 | ||
入院時の食費 | 1/2自己負担 |
※重症:①高額な医療費が長期的に継続する者(医療費総額が5万円/月(例えば医療保険の2割負担の場合、医療費の自己負担が1万円/月)を超える月が年間6回以上ある場合)、②現行の重症患者基準に適合するもの、のいずれかに該当。
指定難病の自己負担上限額
階層区分 | 階層区分の基準 ( )内の数字は、夫婦2人世帯の 場合における年収の目安 |
自己負担上限額(外来+入院) (患者負担割合:2割) |
|||
---|---|---|---|---|---|
一般 | 高額かつ 長期※ |
||||
人工呼吸器等 装着者 |
|||||
生活保護 | ― | 0円 | 0円 | 0円 | |
低所得Ⅰ | 市町村民税 非課税 (世帯) |
本人年収 ~80万円 |
2,500円 | 2,500円 | 1,000円 |
低所得Ⅱ | 本人年収 80万円超~ |
5,000円 | 5,000円 | ||
一般所得Ⅰ | 市町村民税 課税以上7.1万円未満 (約160万円~約370万円) |
10,000円 | 5,000円 | ||
一般所得Ⅱ | 市町村民税 7.1万円以上25.1万円未満 (約370万円~約810万円) |
20,000円 | 10,000円 | ||
上位所得 | 市町村民税 25.1万円以上 (約810万円~) |
30,000円 | 20,000円 | ||
入院時の食費 | 全額自己負担 |
※:「高額かつ長期」とは、月ごとの医療費総額が5万円を超える月が年間6回以上ある者(例えば医療保険の2割負担の場合、医療費の自己負担が1万円を超える月が年間6回以上)。
1) 小児慢性特定疾病情報センター 医療費助成 https://www.shouman.jp/assist/
2) 難病情報センター 指定難病患者への医療費助成制度のご案内 https://www.nanbyou.or.jp/entry/5460
3) 小児慢性特定疾病情報センター 遺伝性血管性浮腫(C1インヒビター欠損症) https://www.shouman.jp/disease/instructions/10_07_050/
4) 難病情報センター 原発性免疫不全症候群(指定難病65) https://www.nanbyou.or.jp/entry/254